最终兵器少女（日文版）:
            
                １
　 紺色のブレザー、白いブラウスにグレーのスカート。紺のソックス。モスグリーンのリボン。肩にかかるかかからないかの薄く栗色がかった、髪。
　地獄坂の手前でちせが待っていた。ぼくを見て、嬉しそうに手を振る。ぼくも鞄を持つ手で、少し気のない感じでそれに応じた。
　 どうなんだろう。
　他人から見たら特別目立たない、少し可愛いくらいの普通の高校女子なのだろうか。ぼくにはたかたかと駆け寄ってくるちせの、照れたような笑顔がかなり可愛く見える。思わず両手を広げてちせを迎え、抱き上げて踊りながら、最後にギュッと抱きしめてやりたいとアホな妄想をしてしまうけれど、外国映画に出てくる二枚目たちが平気でするようなそんな芸当は、北海道なんかに住む一地方高校生のぼくには到底無理な話だ。硬派で無口で、女という人種が苦手なシュウジという像を懸命に押し出して、ちせの駆け寄るのを待った。
　つき合い始めて五日目。
　ぼくらは『恋人同士』を演じてはいるけれど、まだ、その配役に慣れてはいない。